神保町「本迷宮」

見本帖本店で開催中の展示会「本迷宮」に行ってきました。

入口の説明書きには

造本、装丁・装画、紙と特殊印刷の組み合わせが、表現の可能性をさらに広げ、物語の世界を彩ります。
本が織りなす迷宮世界をお楽しみください。

と書いてありました。

「物語を彩る」という言葉がしっくりくる作品ばかり並んでいます。

ページを開く前から、読者をわくわくさせるような、物語の色を想像させてくれる造本や装丁・装画、紙、印刷の業のオンパレードでした。

ため息の出るほど、ひとつひとつの作品に個性があふれていて、この展示会に集まった本はどことなく凛として見えるのは気のせいでしょうか。

この展示会の主催は日本図書設計家協会さんです。

「図書設計」
「設計家」

という言葉から察するに、緻密に計算され、作図され、構築されているのだろうと思います。図書設計についてよく知らなくても、その雰囲気が会場に漂っていました。

設計され生み出された物の美しさや愛らしさには、手に取れる温かみや冷たさの温度があります。これは印刷された本の魅力とされてきました。
でも、これから電子書籍の技術が発展していく中で、紙の本だけが表現してきたこうした魅力を電子が叶えるようになるのは遠い未来ではないかもしれません。紙の本が変わらずに残り続けるためには、こうして守る人たちがいて、こうして攻める人たちがいて、物として存在する価値を再発見していきながら、新しく生み出される物語と一緒になって発展していく必要があるのかなと思いました。

100年後はどんな形の媒体が生活の風景になるのでしょうか。私の膨らませた妄想の中には、やっぱり紙の本もありました。それは私が今を生きている人だからでしょうか。想像もできないような未来がくるかと思うと、どきどき恐ろしいような、わくわく楽しみなような気がしています。

あなたの描く100年後にはどんな本がありますか。

・・・・展示会の風景・・・・

「本迷走」への階段

入口はこちら

並ぶ本たち

丸尾靖子さんのコプティック装

 

土屋みづほさんのドイツ装

主催は日本図書設計家協会
http://www.tosho-sekkei.gr.jp/

心躍る素晴らしい展示会でした。
好きなものに囲まれるって幸せなことですね。